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ドクターが教えるQ&A

監修
広小路眼科 院長 余越恭輔
アクト眼科 院長 小川涼太
やまもと眼科 院長 山本明彦

(質問をクリックして回答をご覧ください。)

眼病に関するQ&A

[ものもらい]まぶたが赤く腫れてしまいました。“ものもらい”だと思うのですが、周りの人にうつりますか?

“ものもらい”とは、麦粒腫(ばくりゅうしゅ)と霰粒腫(さんりゅうしゅ)という2種類の病気の総称として一般的に用いられる言葉です。ちなみに、“ものもらい”は触るとうつると思う方もいらっしゃるかもしれませんが、原因はウイルスではなく雑菌ですので、人から人へうつることはありません。

○麦粒腫 ばくりゅうしゅ
眼瞼(まぶた)にある汗を出す腺やまつげの毛根に雑菌が感染して炎症を起こしたもので、赤み・腫れ・痛み・かゆみなどの症状があります。
治療法・・・主に抗菌物質の点眼薬や内服、軟膏を用いて治療しますが、化膿が進んだ場合は切開して膿を出すこともあります。
○霰粒腫 さんりゅうしゅ
眼瞼(まぶた)にあるマイボーム腺の出口がつまって慢性的な炎症が起きる結果、肉芽腫という塊ができる病気です。麦粒腫と異なり、細菌感染を伴わない無菌性の炎症です。まぶたの腫れや異物感といった症状があり、化膿すると痛みも伴います。
治療法・・・化膿している場合は、抗菌の点眼薬や軟膏で炎症を抑えます。肉芽腫が大きい場合は、注射や切開により肉芽腫を摘出します。

少しでも異常を感じたら早めに眼科を受診し、適切な処置と薬で治療しましょう。また、まぶたを常に清潔にしておくことも重要です。まつげの内側までの化粧は控え、コンタクトレンズはきちんと洗浄して使用しましょう。そして、薬剤での治療の際は、処方箋にそって正しい用法・用量で使うことが大切です。正しい薬剤の使用法も再確認してください。

◎ 薬剤の使い方
■点眼液
1. 石鹸で手を洗う
2. 容器の先が目やまつげに触れないようにし、指示された滴数点眼する
3. 瞬きをせず1分程度目を閉じるか目頭を軽く押さえる
■眼軟膏
1. 石鹸で手を洗い、チューブの先を清潔なティッシュで拭く
2. 鏡を見ながら、先が目やまつげ、まぶたにつかないようまぶたの内側に薬をつける
3. まぶたを閉じて軽くマッサージ
4. チューブの先を清潔なティッシュで拭く
※その他注意点※
・コンタクトレンズは外してから使用します。
・点眼薬は必ず点眼袋に入れ、直射日光のあたらない涼しい場所に保管してください

[ドライアイ]目の乾燥がひどく、ドライアイではないかと気になります。乾燥している状態だと目にも負担が掛かるんでしょうか?

パソコンやモバイル機器が普及した現代では、目を酷使することが多くなり、コンタクト使用の有無に関わらず“目の乾燥”を訴える方が増えてきています。皆様も『ドライアイ』という病名を一度は耳にしたことがあると思います。では、そもそも『ドライアイ』とはどんな病気なのでしょう。

ドライアイとは・・
ドライアイは、その名の通り目が乾燥して涙が欠乏する病気で「角膜乾燥症」とも言います。涙の構造バランスは、目の健康を守る上でとても大切なはたらきをしています。ところが、何かのきっかけでこのバランスが崩れたり涙の量が減ってしまうことで、眼は乾いて傷つきやすい状態となり、表面に傷や炎症など様々な障害が現れてしまうのです。
[ドライアイの原因]
○涙の質・量の低下(涙液が正常ではない)
高齢、夜遅くまで起きている、ストレスが高いなど(生理的要因) 病気、ある種の降圧剤や精神安定剤など
○まばたきが少ない
コンピューター、ワープロ、眼を酷使する作業(運転、細かい作業、読書など)
○涙が蒸発しやすい
眼が大きい、乾燥した部屋など
○その他
アレルギー性結膜炎、大気汚染、コンタクトレンズ、紫外線など
[ドライアイの主な症状]
・目の乾き ・疲れ目 ・かすみ目 ・目の痛み、異物感 ・かゆみ ・充血 ・メヤニ
[ドライアイの治療]
基本は点眼治療を行います。治療に使用する点眼薬は「人口涙液(減少した涙を補う役割)」と「ヒアルロン酸点眼薬(水分を保ち、角膜上皮を修復する役割)」とがあります。 点眼治療で症状が改善されない場合は、「涙点プラグ」を用いて涙の流出口を塞ぐ治療法もあります。
ドライアイの検査・・
◎涙液検査といって涙液の質や涙液量を計測する検査。
◆シルマー検査、綿糸法 ・・・涙液分泌量を測定します。
◆BUT(涙液層破壊時間)検査・・・涙液保持力を測定します。
◎顕微鏡で角膜上皮を観察する検査。
◆細隙灯顕微鏡検査・・・・涙の量や涙が目の表面をきれいに覆っているか確認します。
◆角結膜生体染色検査 ・・・ 角膜上皮細胞の状態を確認します。

ドライアイが重症化すると角膜表面に傷ができたり、ドライアイが原因の疲れ目から頭痛や肩こりを引き起こしたり・・・放っておくと日常生活に支障をきたすこともあるのです。 HIROCON隣接の専門眼科では、コンタクトレンズ検診のほかにドライアイの検査も受けていただけます。気になる症状がある方は、どうぞお気軽にご相談下さい!!

[花粉症]毎年、花粉症に悩まされています。眼はかゆくてショボショボするし、コンタクトをしていてもメヤニがでたりゴロゴロしたり...なにか良い対策はありませんか?

春先から、花粉症による目のかゆみや痛みで困っている人が多く来院されます。花粉症はアレルギー性疾患で完全に治すことは難しく、症状により日常生活に支障を来すこともあります。しかし、薬剤を上手に用いて治療すれば、症状をコントロールできるものです。

大切なのは『予防治療』 最も効果的なのは、早めの点眼治療です。花粉が飛び始める2週間ほど前から予防的に「抗アレルギー剤」を点眼することにより、症状を抑えることができます。早めに受診し、気持ちの良い春を過ごせるように『予防治療』をしていきましょう。

[点眼治療する際の注意点]
◆抗アレルギー点眼薬には、たくさんの種類があり、人によって向き不向きがあります。必ず眼科専門医に相談して、自分にあった薬を処方してもらいましょう。
◆花粉症の症状がひどい場合などは、「抗ヒスタミン薬」と「副腎皮質ステロイド剤」の点眼などを追加します。ステロイド剤は強力に症状を改善しますが、長期間使っていると眼圧上昇などの副作用が現われることがあります。必ず症状を確認しながら、眼科専門医の指示に従って使用することが大切です。
◆コンタクトレンズ使用者はレンズを外した状態で点眼し、5分ほど間隔をあけてからレンズを装着してください。
[コンタクトレンズユーザーの皆様へ]
花粉の時期にコンタクトレンズを装用する場合には、レンズを清潔に保つ事が非常に重要なポイントといえます。
◇レンズケアが必要なタイプの場合、毎日洗浄をしっかり行い、花粉や汚れを落とす事が大切です。正しくケアをし、レンズを清潔に保ちましょう。
◇毎日レンズごと花粉を捨てる“1日使い捨てタイプ”のコンタクトレンズに変更してみるのも花粉対策のひとつです。

※この時期はアレルギー反応などで目が敏感になっている事もありますので、眼科専門医と相談しながらコンタクトレンズを使いましょう。

[はやり目(流行性角結膜炎)]「はやり目」に注意!と聞きますが、「はやり目」とはどんな病気ですか?

「はやり目」は「流行性角結膜炎」といって、アデノウイルスと呼ばれるウイルスによって起こるウイルス性の眼疾患のことです。感染力が非常に強く、接触感染するほか、プールや海でも感染するために、夏期に流行しやすい病気です。 主な症状 約1~2週間の潜伏期間ののち、次のような症状があらわれます。

目ヤニ / 充血 / 涙目 / まぶたの腫れ / 強い痛み・かゆみ / 発熱

[治療法]
この流行性角結膜炎に有効な薬剤は今のところありませんが、放置すると後遺症を生じる恐れがあるため、早期の治療が必要です。細菌の混合感染を防ぐために抗菌剤を点眼したり、対症療法的にステロイドの抗炎症剤点眼を行ったりします。

特効薬がない病気なので、まずは感染しないように予防することが大切です。日頃から石鹸を使って流水でよく手を洗い、海やプールに入った後はすぐに目を洗うよう心掛けましょう。また目薬の貸し借りは、容器を介して感染する恐れがありますので絶対にやめてください。それでもかかってしまった場合は、他の人にうつしてしまわないよう下記の点に十分に注意しましょう。

[注意点!!]
  1. 目を触らない。めやに・涙はティッシュでふき取りすぐに捨てる
  2. 会社、学校、幼稚園は医師の許可があるまで休む
  3. 医師の許可があるまではプールに入らない
  4. タオルは家族と別のものを使い、使ったものは熱湯消毒する
  5. お風呂は最後に入る
  6. 休養をしっかりとって体力をおとさない

流行を防ぐためにはひとりひとりの意識と注意が必要です。
少しでもおかしいなと思ったら、すぐに眼科を受診しましょう。

[マイボーム腺梗塞]「マイボーム腺梗塞」という眼疾患が若い女性に増えていると聞いた事がありますが、どのような症状が起こるのですか?

マイボーム腺」とは、まぶたの縁にある分泌腺で、角膜の乾燥を防ぐために皮脂を分泌する働きをしています 「マイボーム腺」の機能が低下すると、分泌官の中に白色の固まりが生じます。その油が固まった状態の事を『マイボーム腺梗塞』といい、ドライアイやかゆみ・ものもらいを引き起こす原因になります。

[原因]
1. 加齢によるマイボーム腺機能の低下
2. アイメイクによるもの→マスカラやアイライナー、付けまつ毛の接着剤を使用するアイメイクは、知らないうちにマイボーム腺を傷め、詰まりの原因となり、ひどいドライアイや慢性的な結膜炎になったり、アレルギーを引き起こしやすくします。 正しいアイメイク法 ・マイボーム腺がある粘膜の部分(まつ毛の生え際の内側)には、アイラインを引かないようにする。
  • アイメイクがまぶたの内側に触れないようにする。
  • メイクのクレンジングを使う時には、コットンや綿棒を使って丁寧にこすりとるようにして落とす。
[対処法]
手軽で効果的なのは、まぶたを温めて「マイボーム腺」に詰まっている油脂を溶かす方法です。レンジで温めたタオルをまぶたの上にあてる事で、油脂を溶かします。またこの方法だけでは油脂が出し切れない場合に、機械を用いて外に出す圧迫除去という方法もあります。また、予防するには、アイメイクの仕方に気をつけ、常日頃から目の周りを清潔にしておくことが大切です。

[飛蚊症]目の前に黒い点のようなものが飛んで見えます。これは病気ですか?

目の前に糸くずや虫のような浮遊物が飛んで見えることを「飛蚊症」と呼びます。飛蚊症は、硝子体(眼球内部の大部分を占めるゼリー状の透明な物質)がなんらかの原因で濁り、その影が網膜にうつることによって起こる症状です。

原因(1) 生理的飛蚊症
胎生期(母胎の中に居る時間)に消失すべき硝子体の中の組織がそのまま残って、飛蚊症として感じるものです。このタイプの飛蚊症は、病気ではないので心配ありません。
原因(2) 硝子体剥離
ゼリー状の硝子体は老化や近視眼で収縮します。硝子体が収縮して網膜から剥がれる(硝子体剥離)時の影が飛蚊症となるのです。この硝子体剥離の原因は、老化現象としても起こり、強度近視の場合は必ず起こります。病気ではありませんので治療の対象とはなりません。
原因(3) 網膜裂孔・網膜剥離
網膜裂孔や網膜剥離が生じることによって、飛蚊症の症状が現れることがあります。剥がれた網膜や色素上皮細胞・裂孔ができた際に生じた出血が影となって、網膜に映し出されるためです。硝子体剥離から網膜裂孔を引き起こすこともあるので、もともと飛蚊症がある方も症状が進行した場合は早めに眼科を受診してください。

飛蚊症の多くは治療を要しないものですが、中には重大な病気の兆候として現われる場合もあります。
症状を自覚したら放置せずにすぐに眼科を受診し、原因が何であるかをつきとめることが大切です。

コンタクトレンズに関するQ&A

使い捨てレンズを、決められた交換時期より長く使うとどうなるの?

2週間タイプや1ヶ月タイプといった定期交換型の使い捨てレンズは、低コストでしかも清潔・安全に使用して頂ける優れものです。せっかく清潔に使うための使い捨てレンズを、使用期限を守らずに使うのは大変危険です!交換期間を延ばして使うと、きちんと洗浄をしていてもレンズに汚れやタンパク質が蓄積し、ゴロゴロとした異物感が出てくるだけでなく、酷くなると巨大乳頭性結膜炎を起こしたり、角膜の感染症や角膜炎を引き起こしたりする可能性があります。そうなると、コンタクトレンズの装用を中止して治療を行わなければいけません。使い捨てレンズは、必ず決められた期間で交換してください。

いけないと思いながらも、ついついコンタクトを長時間つけたり、つけたままうたた寝してしまうのですが・・。
どのくらい目に悪いのでしょうか?

コンタクトレンズは正しい使用法を守ればとても便利で快適なものですが、誤った使い方をすると大切な目を傷つけてしまう危険性を含んでいます。コンタクトレンズの長時間装用や、つけたままの睡眠もそのひとつ。「一晩くらいなら・・」という油断は目にとっては大敵です!

コンタクトレンズの無理な装用により涙や酸素が不足すると、角膜の表面に点々と細かな傷がつきます。これは『点状表層角膜症』といい、コンタクト使用者の5~15%に見られる症状です。皮膚で言えば、ひっかき傷程度の状態ですので、ソフトレンズや使い捨てコンタクトでは軽い異物感はあるものの強い痛みはなく、気づかないこともあります。しかし、気づかずにコンタクトレンズを使い続けると、傷は悪化し『角膜びらん』になります。

『角膜びらん』とは『点状表層角膜症』の進行した状態で、角膜の上皮細胞が変性し広い範囲に渡って剥がれてしまうため、強い痛みを伴います。放置すると感染症をおこす可能性がありますので早めに受診してください。

[角膜の酸素不足により起こりうる眼疾患]
角膜上皮びらん 角膜の一部が剥がれ落ちた状態。かなりの痛みを伴う。
角膜潰瘍 コンタクトレンズ障害の中ではかなり重く、治療に時間を要する。重症の場合は、治癒後も角膜に混濁を残して視力に影響が出ることがある。
血管新生 本来は透明な組織である角膜に血管が進入してくる症状。血管新生が進行した重症例では、コンタクトレンズの使用が不可能となる。
角膜内皮障害 角膜の内側を構成する細胞(角膜内皮細胞)が少しずつ脱落減少していく障害。自覚症状は全くなく、障害がある限界を越えると角膜の透明性を維持できなくなり、視力低下の原因となる。

コンタクトを使用していますが、見え方も困ってないし痛みなどの症状もありません。
それでも定期検査は必ず受けなければならないのですか?

コンタクトレンズは「高度管理医療機器」であり直接目につけるものなので、安全にご使用いただくためには必ず定期的な検診が必要です。とくに、使用期限や寿命を越えたレンズ・汚れたままのレンズを無理に使用していると、目に負担が掛かり思わぬ目の病気を引き起こしてしまいます。

[コンタクトレンズの誤装用から起こる目の病気]
病名 主な原因 症状
アレルギー性結膜炎
角膜びらん
汚れたレンズや使用期限を越えたレンズの装用
レンズの長時間装用や無理な連続装用
かゆみ・目ヤニ・異物感・傷み・充血
角膜血管新生 レンズによる角膜の慢性的な酸素不足。
使用期限を越えたレンズや洗浄不足で汚れたレンズを装用、無理な長時間装用・連続装用などで起こる。
本来透明である角膜の中にまで血管が伸びてくる。最終的には、視力障害に至ることも。自覚症状はほとんどない。
角膜内皮障害
  • ・レンズによる角膜の慢性的な酸素不足。
  • ・目への外傷。
  • ・急激な眼圧の上昇(特に緑内障発作)
  • ・眼内の炎症(ぶどう膜炎など)
角膜の一番下の細胞の数が著しく減少する。最終的には角膜が濁り視力障害に至ることも。自覚症状はほとんどない。
[コンタクトレンズの誤装用から起こる目の病気]
病名 アレルギー性結膜炎角膜びらん
主な原因 汚れたレンズや使用期限を越えたレンズの装用
レンズの長時間装用や無理な連続装用
症状 かゆみ・目ヤニ・異物感・傷み・充血
病名 角膜血管新生
主な原因 レンズによる角膜の慢性的な酸素不足。
使用期限を越えたレンズや洗浄不足で汚れたレンズを装用、無理な長時間装用・連続装用などで起こる。
症状 本来透明である角膜の中にまで血管が伸びてくる。最終的には、視力障害に至ることも。自覚症状はほとんどない。
病名 角膜内皮障害
主な原因
  • ・レンズによる角膜の慢性的な酸素不足。
  • ・目への外傷。
  • ・急激な眼圧の上昇(特に緑内障発作)
  • ・眼内の炎症(ぶどう膜炎など)
症状 本来透明である角膜の中にまで血管が伸びてくる。最終的には、視力障害に至ることも。自覚症状はほとんどない。

このように、なかには自覚症状がほとんど無いまま進行する目の病気もあります。
まずは、正しく安全にコンタクトレンズを使用すること、そして、自覚症状がなくても必ず定期的な検査で目の健康を確認することがとても大切です!

眼鏡よりもコンタクトのほうが楽なので、ついつい寝るまでコンタクトを着けてしまいます。
やはり、コンタクトレンズと眼鏡は必ず併用したほうが良いのでしょうか?

コンタクトレンズは見え方の点で眼鏡よりも利点が多いので、最近は一日中コンタクトレンズで過ごされる方が多くいらっしゃいます。 現在は、コンタクトレンズの性能が非常に高くなり、日中起きている間で装用するには十分な酸素を供給できるものがほとんどです。コンタクトレンズが目に与える負担が少なくなっておりますので、一日を通してコンタクトレンズで過ごされても問題ございません。

但し、目に異常が生じた際には、コンタクトレンズの装用時間を短くしたり、レンズの装用を中止しなければならないこともあります。そういったときのために、度数のあった眼鏡は常備しておきましょう。

コンタクトレンズと眼鏡、目が疲れにくいのはどちらですか?

“見えやすさ”においては、眼鏡よりもコンタクトレンズの方が優位性が高く疲れにくいです。強い近視や遠視・乱視の方や左右の度数差が大きい方でも、目に負荷を掛けずに良好な視力を得ることができます。コンタクトレンズも眼鏡も視力矯正を行う道具ですが相違点がいくつかあります。一番の違いは、メガネはレンズがフレームで固定されており角膜との距離が12mm程度あるのに対して、コンタクトレンズは角膜の上に涙を介して直接装用される点です。それによって、見え方にも以下のような違いが生じます。

  メガネ コンタクトレンズ
視野 フレームの範囲内のみ 裸眼と同程度
収差 角膜とレンズの間に距離があるため、像の歪みや大きさの変化が生じやすい。 角膜とレンズの間の距離がほぼ無いため、像の歪みや大きさの変化が生じにくい。
[コンタクトレンズの“見えやすい”理由 ]
・眼鏡に比べて収差(像の歪みや大きさの変化)が少ないため、より自然な見え方が得られる。そのため、高度の近視や遠視、左右の度数差が大きくてもしっかりと視力の矯正ができる。
・角膜に直接装着するため、眼鏡と違ってフレームや周辺の歪みがなく、裸眼と同じ広範囲の視界が得られる。
・気温差や湯気などでレンズが曇ることがない。

より自然な視界で良好な視力が得られるコンタクトレンズですが、快適な視力を得るためには目に合ったものを正しく使うことが大切です。眼科医の処方に基づいて使用することと、定期的な検診を忘れないようにしましょう。 少しでも気になることがございましたら、HIROCON隣接眼科にお気軽にご相談ください!

目に関するQ&A

最近、近視が治せるレーシック手術が話題ですが、本当に安全なのですか?

レーシックとは、レーザー光線を照射して角膜を削り屈折異常(近視)を矯正する手術です。眼鏡やコンタクトレンズなどの矯正用具がなくても裸眼でクリアな視界が得られるとのことで、最近はメディアでも多く取り上げられ話題となっています。ですが、眼にメスを入れる手術ですので、相応のリスクがあることも忘れないで下さい。レーシック手術を皆様に知っていただくために、メリット・デメリットをあげてみました。

[レーシックのメリットとデメリット]
【メリット】
・コンタクトレンズや眼鏡がなくても裸眼でクリアな視界が得られる。
・コンタクトレンズや眼鏡の維持費やメンテナンスがいらない。
・短時間の手術で日帰りで受けられる。(手術をするに当たっての事前検査は必要)
【デメリット】
・クリニックにより得られる視力にばらつきがあり、目標視力に達しないことがある。
・術後に近視が再発するケースがある。
・近視が再発した場合、コンタクトの矯正が出来ないケースがある。
・ドライアイになる確率が高い。
・術後の感染症に注意が必要。
・夜間の光がにじむ
・眩しく感じられる合併症(ハロ・グレア現象)を引き起こす確率が高い。

レーシックは新しい視力矯正の方法です。矯正用具がなくても快適な視力が得られる反面、感染症や合併症・後遺症などのリスクもゼロではありません。

一度削った角膜は、元に戻すことはできません。一生使うあなたの大切な眼ですから、メリット・デメリットを見極めて慎重に検討することをおすすめします。

最近、歳のせいか新聞などの文字が見えにくくなってきました。近視の人は老眼にならないと聞いた事があるのですが…?
また、遠視と老眼はどう違うのでしょうか?

遠視と老眼(老視)を同じものだと思っている人がいらっしゃいますが、この2つは原因も症状も全く異なります。「老眼」は水晶体の機能が年齢と共に衰えて近くのピントが合わせにくくなることをいいます。この水晶体の機能低下は、誰でもに加齢と共に表れる生理現象で、病気ではありません。

「遠視」は、網膜よりも後ろに焦点を結ぶ状態で、調節力を働かせないとどこにもピントが合わない状態です。つまり、遠くも近くも見えにくい状態なのです。しかし、調節力が充分にある若い人は無意識に筋肉に力を込めてピントを調整するので、遠方も近方もそこそこ見える事になります。

近視の人は焦点がもともと近くに合っているため、裸眼の状態だと老眼の「近くがみえにくい」という症状を自覚しにくいのですが、老眼にならないわけではありません。近視の方でも加齢により、ピントを合わせる筋肉(調節力)が衰える為、残念ながら老眼になります。遠視の人は、もともと若い頃から調節力を働かせて近くを見なければならないため、比較的早い時期から老眼の症状を訴えることが多くなるようです。

【老眼の主な自覚症状】
  • 目が疲れやすくなった。
  • 細かい字・小さいものは近視用の眼鏡・コンタクトを外さないと見えない。
  • 新聞などは近い距離だと見えにくいが、30㎝以上遠くに離すと見える。
  • ピントの合うスピードが遅くなった。
  • 明るいところに比べて、薄暗いところでは格段に見えづらい。
【老視と遠視の違い】
  老視 遠視
原因 加齢に伴う調節力の衰え 網膜より後方に焦点を結ぶ屈折異常
症状 調節力が衰える為近くのピントが合いにくくなる 遠くも近くも常に調節力を働かせないとピントが合わない
矯正方法 遠近両用コンタクトレンズorメガネ老眼鏡 コンタクトorメガネ凸レンズ

ちなみに、最近話題のレーシックは、手術で強制的に遠くにピントを合わせるため、同年齢の方と比べても老眼の症状がかなり早い段階から現れます。ですから、年齢によっては手術をすることで遠くは良く見えても、結局、老眼鏡や遠近両用のコンタクトレンズ・メガネが早いうちから必要となるケースも多くあります。

老眼はなかなか認めたくないものですが、症状をそのままにしていると日常的にも不便ですし、眼精疲労や頭痛・肩こりを引き起こすこともあります。自覚症状が現れたら眼科を受診し、コンタクトレンズ・メガネの度数調整や遠近両用レンズの相談をしてください。HIROCONはもちろん専門のスタッフが応対します。

最近“アンチエイジング”という言葉をよく聞きますが、目にもなにか対策が必要ですか?

年齢の経過とともに起こる目の症状は数多くあります。主なものとしては、白内障・老眼・加齢黄斑変性症などです。

【白内障】
レンズの役割をする水晶体が、加齢により混濁する疾患。視界がかすんだりぼやけたりして、視力低下を引き起こします。
【老眼】
年齢とともに水晶体の弾力性が低下したり、ピントを調節する筋肉が衰えることで、近くに焦点が合いにくくなる現象。老眼になると集中力が落ちたり、肩こり・頭痛・目の疲れを引き起こしたりします。
【加齢黄斑変性症】
加齢に伴い、網膜の中心にある「黄斑(おうはん)」の細胞が変性を起こす疾患。症状としては、視界の真ん中が暗く見えたり歪んで見えたりします。重篤になると、失明の原因にもなり得ます。

これらの症状が起こる原因のひとつとして、“活性酸素”という物質が悪影響を及ぼしていることがあげられます。

活性酸素とは・・細胞や組織を傷つけるサビのようなもので、ストレス・偏食・紫外線 大気汚染などが原因で発生します。活性酸素によりダメージを受けた細胞が蓄積されることで老化します。

目は、外部からの酸化ストレスを直接受けやすく、“活性酸素”が発生しやすい器官なのです。 このように目は老化と密接な関係にあり、“アンチエイジング”の必要性も高いといえるでしょう。

[活性酸素を抑制し、目の老化を防ぐには]
1. 緑黄色野菜や豆、海草類を多く取り、バランスのとれた食生活を心がけましょう。
2. 継続的に摂取できるサプリメントを併用しましょう。抗酸化作用をもつルテイン・ ビタミン・ミネラルが入ったものを選ぶと良いでしょう。
3. 強い日差しを避け、サングラスなどでしっかり目をガードしましょう。

仕事をはじめてから、目の疲れや頭痛・肩こりがひどいです。
仕事では毎日長時間パソコンを使うのですが、なにか関係ありますか?

目の疲れは、パソコン作業や読書など目を過度に酷使したときに起こります。それがただの疲れ目だったらよいのですが、症状が進行し「眼精疲労」に発展すると、目だけでなく頭痛や肩こりなど全身に症状があらわれます。

【「疲れ目」と「眼精疲労」の違い】
目が疲れたと思っても、一晩ぐっすり眠って目の疲れが取れる場合というのは「疲れ目」です。「眼精疲労」は休憩を取った後も、目の痛みや頭痛・肩こりなどの症状が残ったり、一時的に回復してもすぐに症状が、ぶり返してしまうようなことを言います。一般的に、疲れ目を感じるような状況にあっても休息を取らなかったり、継続的に疲れ目を感じる状況にある場合に、疲れ目が眼精疲労に進展するといわれています。
[眼精疲労のおもな症状]
目の症状:疲れる、ぼやけ、かすみ、痛み、充血、目が重い、しょぼしょぼする、まぶしい、涙がでる
体の症状:肩こり、倦怠感、頭痛、めまい、吐き気
[眼精疲労を引き起こす原因]
1. パソコンなどのVDT作業によるもの【VDT症候群(※)】
2. 目の筋肉(毛様体筋)の過緊張や、老眼などの調節機能異常によるもの【調節性眼精疲労】
3. 精神的ストレスなどの心的要因からくるもの
4. 屈折異常(近視・遠視・乱視・不同視)からくるもの【屈折性眼精疲労】
5. 不適切なコンタクトレンズや眼鏡の使用によるもの
6. 緑内障(失明につながる可能性のある眼病)の初期にも、眼精疲労を訴えることがあります。
※VDT症候群とは
VDT(Visual Display Terminal)とは、パソコンやテレビ・ポータブルゲーム・携帯電話など表示画面を持った情報端末のことです。これらのVDTを使用して長時間作業を行なうことで、眼精疲労・全身倦怠感・心身症など体に不調が生じる事を“VDT症候群”と言います。症状としては目の疲れ・痛み・かすみ目・肩こり・イライラ・頭痛などで、ほとんど眼精疲労と一致しています。
[眼精疲労・VDT症候群の予防と対策]
1. 休む
目を休ませることにより、酸素が補給され、緊張していた筋肉が弛緩します。VDT作業中も、1時間ごとに10分程度の休憩をとるようにしましょう。遠くの景色を見たり、目薬を使って目の乾きを防ぐのも良いでしょう。
2. ほぐす
眼球周辺へのマッサージ・眼球体操・ツボ押しなどにより人為的に血行を促し、筋肉疲労を解きほぐしましょう。また、適度な運動・体操で体の緊張をほぐすのも効果的です。
3. 遠くを見る
近くを見る際に緊張していた毛様体筋は、遠くを見ると弛みます。遠くを見ることにより弛緩時間を早めることが可能です。

メガネやコンタクトを使用している人は、度が合っているかどうか、きちんと確認しておきましょう。度が合っていないメガネやコンタクトは目の疲労を進めます。更に、ドライアイや緑内障など、目の異常がある人は、VDT作業が症状を悪化させる恐れがあるので十分注意する必要があります。また、VDT作業をする際は、モニターを自分の目線より下になるようにし、画面との距離は50cmあける等、目に負担のかかりにくい環境を作るようにしましょう。

眼精疲労は、仕事や環境が変わるといった生活の変化がない限り、自然には治りません。不快な症状がいつまでも続き、その症状がさらに状態を悪化させることもあります。背後に目やからだの病気が隠れている可能性も考えられます。ですから、「ただの目の疲れ」などと軽く考えず、気になる症状が続くようでしたらなるべく早く診察を受けましょう。